事例一覧社会医療法人寿会 富永病院
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災害協力病院として災害時の初動対応を確実かつ迅速に

課 題

  • 災害時、職員の安否状況の把握に時間がかかっていた

  • 回答結果の集計を行えていなかった

対 策

  • 安否確認や安否回答の集計を自動化

効 果

  • 回答結果の集計を自動化、また管理側が自由に結果を確認できるようになり報告作業も手間や時間がかからなくなった

社会医療法人寿会 富永病院は、大阪市の中心部「難波エリア」に位置する脳神経外科を中心に専門特化した病院です。1970年の開業以来「Less mortality , less morbidity(一人でも多く救命し、一人でも多く後遺症なく社会復帰していただく)」をモットーに、長期にわたり地域医療に貢献してきました。

クリニックやサービス付き高齢者向け住宅などの関連施設を含め約1,000名の従業員を抱える富永病院では防災体制が確立しておらず、何も分からない状態から災害対策委員会を立ち上げ、その中でBCP対策ツールの導入を検討する声が多く上がったといいます。今回は「安否確認サービス2」を導入したことで、院内の職員に留まらず、委託業者や契約職員を含めた約1,000名の安否を瞬時に把握することを実現させた救急部・地域医療連携室 西村さんにお話を伺いました。

地域の災害協力病院としての役割を果たすために安否確認サービス2を導入

西村様は救急部・地域医療連携室に所属されているとのことですが、どのような立場から防災関連の業務に携わっているのでしょうか?

西村さん: 平成28年頃に院内で救急部を開設することになり、当時私は医事課職員として従事していました。救急部の立ち上げに際し、救急外来の医師や看護師との連携をはじめ事務関係の業務を行うという形で私も参入し、現在は医事課、地域医療連携室の業務を兼務しています。

業務と災害対策に関連はありませんが、救急部の前任者が病院の防火・防災管理者を担っていたためそのまま引き継ぐこととなり、防火・防災管理者の資格を取得するに至りました。

当時院内には災害対策委員会がありませんでした。災害マニュアルは院内にありましたが、実用性のあるものとはいえませんでした。しかし、自分が管理者になるにあたって、万が一の場合に刑事罰を受ける立場になるということを自覚し、院内での災害対策委員会の立ち上げを訴え、平成29年12月頃に委員会が発足しました。

災害対策委員会の発足後、どのように災害対策を進めましたか?

西村さん: まずは各部署から1名選任して集まり、既存のマニュアルを一旦撤廃することから始めました。経験を積んだ救命士や救急外来の認定看護師、その他災害に関して知識のあるスタッフに協力してもらいながら、白紙を埋めていったという感じです。

その後3年ほどは特に活動実績も残せない状態だったのですが、年数を重ねるごとに意識の高い看護師などが集まり、徐々に災害対策委員会の規模も大きくなってきました。その中でアクションカードやトリアージポストなど、より実践に近い内容の意見が交わされるようになり、BCPの一環として安否確認システムの導入をしてはどうかという声が上がりました。

防災について災害対策委員会では、どういった点を重視されましたか?

西村さん: もちろん患者さんや職員の安全が非常に大切だということは大前提なのですが、やはり医療機関としての機能を維持するという点は欠かせないと考えています。当院は地域における災害協力病院という役割を担っているため、いざ災害が起こった際は院内の患者さんに加えて外部の患者さんも守る立場にあります。BCPという観点から見ても、有事の際には救急病院としての役割を担う、そのために安否確認システムを導入するということが1番大きかったですね。

安否確認サービス2の導入を機に院内の防災体制を強化

安否確認システム導入の意見が出たと伺いましたが、他にもきっかけになった出来事はありますか?

西村さん: 当時、安否確認に関して全く無知の状態であったというのが正直なところです。そんな中、台風21号の災害時に最も連絡が取りやすかったのがLINEだったこともあり、まずLINEWORKSを導入しました。ただし災害用ということではなく、管理職のグループLINEという位置付けで運用が始まり、その中に「災害メンバー」というグループが作られたという形です。

しばらく有事の際は所属長が個々の状況を確認し、結果を本部に報告するという流れで運用していましたが、全職員の安否を把握するには各所属長からの連絡を待つ以外に方法がなく、結局は個人のLINEに頼っている状況となっていたことが課題でした。

その他災害、例えば地震が発生したときの体制に課題はありましたか?

西村さん: 当院は大阪中心街に位置しており、災害が発生して電車が止まると病院へ駆けつけるのが難しくなる職員が多くいます。そのため、病院周辺に住む職員に参集してもらうのが最も望ましいところですが、招集をかける職員を管理職に絞ってしまうと、実際に動ける人員が少なくなってしまうというのが課題でした。

災害下で集める人員を選出し、同時に院内の患者さんを守るというのは困難を極め、人員の少ない夜間となるとさらに参集するのは難しくなります。基本的に管理職は集まることになっていますが、本人と家族の安全確保を最優先することを前提としているので、それも確実とは言えませんでしたね。

当時はLINEでやり取りされていたとのことですが、そこに集まった情報を災害対策委員会で集計や報告をしていたのでしょうか?

西村さん: 集計作業は全く行っていませんでした。そもそも安否確認サービス2を導入するまでは、そういった仕組み自体が存在しておらず、決められた参集職員が集まる形での運用でしたが、システム導入を機に体制を整えたという形です。安否確認サービス2を導入したことで、現在は管理職が集計結果を自由に閲覧できるようになったので、集計や報告作業も必要なく非常に助かっています。当時はLINEでやり取りされていたとのことですが、そこに集まった情報を災害対策委員会で集計や報告をしていたのでしょうか?

災害時だけでなく普段使いもできることが魅力だった

数ある安否確認システムの中から、トヨクモの安否確認サービス2を選んでいただいた理由について教えてください。

西村さん: 当院はセコムと契約していることもありセコムとアルソック、トヨクモ3社のシステムをトライアルという形で体験させていただきながら比較検討しました。その中で、災害対策委員会のスタッフ複数名からトヨクモが1番使いやすいという意見が出たんですね。

LINE連携など多くのメリットが挙がりましたが、中でもアプリがあること、メール登録で運用できること、掲示板やアンケート機能が簡単に利用できることが非常に大きかったです。また、他社と比べ、安価で多くの機能を利用できるというのも導入のきっかけになりました。

ありがとうございます!導入前に3社のトライアルをされたとのことですが、実際に使ってみていかがでしたか?

西村さん: 明らかな違いとしては、他社のシステムはあくまでも安否確認用ツールという位置付けだったのですが、トヨクモの安否確認サービス2だけは普段使いもできる印象がありました。実際、日常的な業務連絡などの集計も取りやすく、幅広く活用できています。安否確認のみならず、普段から業務の一環として取り入れることができるというのが最大の違いであり魅力でした。

導入するにあたって、院内でどのような事前準備を行いましたか?

西村さん: 安否確認システムを日常使いするというイメージがなかったので、まずは院内で浸透させるために業務連絡という形で全部署に通達を行い、院内ルールとして登録を義務付けるところから始めました。中には登録に消極的であったり、ガラケーのため利用できなかったりといったケースもありますが、院内職員の他に外部委託の清掃員や検査機関として当院で従事している方などを含め全体の90%程度は登録を完了しています。

別の会社から派遣されているスタッフに関しても、安否確認サービス2に登録をされているのでしょうか?

西村さん: はい。どのような形であっても院内で働くとなった時点で登録してもらっています。当院の新入社員に関しては、オリエンテーションの中で登録を行ってもらう形にしているので、登録漏れの心配もありません。コロナ禍においても、職員のワクチン接種状況の把握や接種希望者のスケジュール管理などに幅広く活用させていただきました。
従来、そういった作業は全て紙媒体で行っていたため、各部署にポスティングするようなイメージでアンケート用紙を配布し、戻ってきた結果を手作業で集計するのにかなりの時間と手間がかかっていました。しかし安否確認サービス2を活用することで、そうした作業が非常にスピーディーかつ手軽に行えるようになり、一覧として可視化することもできたので、安否確認以上に大きな成果を実感しています。また、このように日常的にアプリを活用することで、いざ災害が発生した際にも自然と活用できると思っています。

素晴らしい取り組みだと思います。導入の初期設定はスムーズに行えましたか?

西村さん: 業務連絡として安否確認サービス2への登録を促した際、登録の方法についても同時に紙ベースで各部署に通達しました。また、社員食堂などにサイネージがあるので、そちらに掲示を行うなどなるべく職員の目に付くよう工夫しました。全職員に確実に登録してもらうため期限を設け、さらに部署ごとにリストを作成し、登録していない職員にはその都度促すという形で半強制的に登録してもらうことで、大きなトラブルなく登録が完了したという感じです。
管理側としても、導入に際して600名以上の職員情報を登録する必要がありましたが、CSVファイルで一括登録ができたので非常に便利でした。現在も総務部で入退職者の管理を行っていますが、複雑な作業が一切なく迅速に行えています。

一斉訓練で安否確認の回答率を向上

安否確認サービス2を災害で利用された経験はございますか?

西村さん: 以前和歌山で地震が起こった際、対象となる職員にメールが届き、それに対して返信が来たことから大きな災害が発生した際の流れがイメージできました。当院は難波に位置しているため、大阪に限らず和歌山や奈良から通勤している職員が少なくありません。実際にそのエリアに住居がある職員が迅速に返信してくれるというのは、非常に安心感があります。

他にはどのような場面で活用されているのでしょうか?

西村さん: 例えば、コロナ禍で密になることを避けるため災害対策委員会を中止することになったとします。院内職員だけであれば、電子カルテ内のメール機能を使って通達することができますが、電子カルテを見ることができない外部職員に知らせることができません。そんな時は、安否確認サービス2を使って連絡をしています。
当院の災害対策を理解し、いざという時にアクションカードに基づいて行動してもらうために外部職員にも災害対策委員会に参加してもらっているので、メンバー全員に確実に通知が届く方法が必須であり、そのツールとして安否確認サービス2が最適だと思っています。

継続的に一斉訓練にもご参加いただいていますが、どのようなメリットを感じていらっしゃいますか?

西村さん: 1番のメリットは回答率が一目で把握できるところですね。管理側としても、どれだけの職員が回答しているのかという点を重視しており、万が一低い結果であった場合は災害対策委員会から積極的に回答を促すよう発信する仕組みを作っています。委員会の中でフィードバックを行う場を設け、そこでまとめた集計結果や回答率に関して職員に周知するという流れです。
一斉訓練を通して職員の防災意識も向上していると感じていますし、今後も継続して参加していくことで、いざ大規模な災害が発生した際にも高い回答率が期待できるのではないかと考えています。

安否確認サービス2は災害対策になくてはならない存在

今後安否確認サービス2に期待することなどがあれば教えてください。

西村さん: システムを軸にマニュアルを作成したほど、安否確認サービス2は当院の災害対策に欠かせないものとなっており非常に心強い存在です。

一方で、当院では掲示板におけるグループやメンバーの振り分けを総務部が行っているのですが、その作業を発信者側が簡単にできるような仕組みを作っていただけると、さらに使い勝手がよくなると思います。

災害対策委員会というグループを作成したとしても、途中でメンバーが変わることが多いので、例えばラインのように誰でも簡単にグループを作成したり、出入りしたりできる機能があれば、その都度総務部に依頼する必要がなくなり、タイムラグも解消されると思うので、ぜひ検討していただけるとありがたいです。

社内の活用の幅を広げていただけるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!

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