
LINE連携と管理職を巻き込んだ訓練で「回答率99.5%・回答時間2.7分」を実現

- 社名
- アイペット損害保険株式会社
- 業種
- ユーザー数
- エリア
- 掲載日
- 2025.12.5
課 題
従来使用していた安否確認システムは地震以外の災害に対応していないため、台風19号では安否確認連絡が発報されなかった
安否確認連絡はメール通知で運用していたため、休日は個人メールに気づかず連絡が取れないことが課題だった
対 策
特別警報にも対応している安否確認サービス2を導入
2024年の能登半島地震を機に「LINE連携」を即座に導入
さらに「発報から30分以内の報告義務」を課し、管理職を巻き込んだ実効性の高い訓練を実施した
効 果
回答率99.5%、回答時間中央値2.7分を達成
欠勤連絡等、日常的に活用することで、システムの利用が習慣化した
今回は、Good安否確認賞 2025の優秀賞を受賞されたことをうけ、人事総務部 労務グループの内山さん、本間さんより受賞コメントをいただきました。
台風19号での手動対応が限界に。「地震以外」にも対応できるシステムへ
安否確認サービス2を導入されたきっかけを教えてください。
2019年10月に発生した台風19号が、大きな転機となりました。
当時、関東地方を中心に大雨特別警報が発令されましたが、過去使用していたシステムは地震以外のアラートに対応しておらず、安否確認の連絡が自動発報されなかったのです。結果として、人事担当者が手動でチャットやメール、電話を駆使して一人ひとりに連絡を取るという、非常にアナログな対応を強いられました。
特に、会社支給の携帯電話を持っていない社員への連絡や、誰が未回答なのかの集計作業に膨大な時間がかかり、「これでは従業員の命を守る初動対応が遅れる」と痛感しました。近年、大型台風やゲリラ豪雨による水害など、災害の種類が多様化しているため、あらゆる事態に対応できるシステムが必要だと考えました。
安否確認サービス2を導入した決め手を教えてください。
安否確認システムを切り替えるにあたり、複数社の情報を収集し、見積依頼や比較検討を行いました。ここで重視していた条件は3つです。
1つ目は「特別警報にも自動連動すること」。地震だけでなく、大雨や暴風をはじめとする特別警報に対応できることが必須でした。次に「コストパフォーマンスの高さ」。当社は従業員が約650名おり、全国に拠点を展開しているため、コストを抑えながらも機能面で妥協しないシステムが必要でした。最後は「操作がシンプルであること」。緊急時に誰でも簡単に一斉送信できることが重要です。この3つの条件すべてをクリアしたのが、安否確認サービス2でした。
2019年12月に社内決裁を取り、導入手続きを開始。2020年1月には全従業員にプライベートアドレスの登録を依頼し、運用を開始しました。


BCP初動対応マニュアルを整備。日常活用で「習慣化」を実現
安否確認サービス2を導入後、どのように活用されていますか?
LINE連携およびBCP対応マニュアルの整備を行い、安否確認の体制を強固なものにしました。
この体制を構築するきっかけとなったのが、2024年1月1日の能登半島地震でした。
元日というタイミングもあり、多くの従業員は会社支給のPCや携帯電話を持っておらず、個人のスマートフォンしか手元にない状況。システムが自動で安否確認メールを一斉送信しましたが、プライベートの時間に業務用のメールを確認する人は多くありません。結果として、「連絡が取れない」「メールに気づかない」という課題が浮き彫りになりました。
「安否確認通知が見落とされない仕組みをどう作るか」。そう考えたとき、日常使いされているコミュニケーションツールであるLINEと連携することが近道だという結論に至りました。当社の従業員は平均年齢が30代半ばと比較的若く、メールよりLINEに慣れています。以前から導入を検討していた機能でもあり、正月休み明けすぐに導入。現在はLINE連携を必須とする運用に変更しています。
BCP対応マニュアルの整備は具体的に何をされたのでしょうか?
BCP/災害発生時の初動対応マニュアルを整備しました。マニュアルには、安否確認サービス2の権限設定者や発報の基準、実施方法、回答期限などを細かく記載しています。また、年1〜2回の訓練を実施し、その際にシステムへの登録状況や緊急連絡先を再確認することで、マニュアルの実効性を保つ体制を整えています。

その他に安否確認サービス2の活用方法があればお聞かせください。
日常から突発休等の連絡ツールとしても活用しています。いくら良いシステムでも、年に一度しか使わなければ、緊急時に操作に戸惑ってしまうためです。
コンプライアンスやプライバシーの観点から、上司であっても部下のLINE IDや携帯電話番号を安易に聞けません。会社から携帯電話を支給している営業職などの社員にとっては問題ありませんが、困るのはそれ以外の社員です。会社用の携帯をもたない社員が欠勤連絡をしたい場合、連絡手段に困ることがありました。
安否確認サービス2のメッセージ機能を使えば、個人情報が公開されることなく、社員同士の連絡が可能です。また、安否確認サービス2を使って連絡を日常的に行うことで、システム利用を習慣化できています。災害時の初動対応のはやさにも、これが繋がっているのだと思います。

意識を高め、スピードを検証。「客観的な指標」を求めて参加

アイペット損害保険株式会社は、2025年度の『全国一斉訓練』において、優秀賞を受賞。
▼【Good安否確認賞2025】 全国一斉訓練で優秀な成績を収めた10団体を発表
https://www.toyokumo.co.jp/2025/10/10/good-anpikakunin-award2025
全国一斉訓練に参加された理由を教えてください。
最大の目的は、「従業員の安否確認に対する意識を高めること」と「自社の回答スピードを客観的に検証すること」です。
以前は、安否確認に対して「人事がやってくれるだろう」という受け身の姿勢が社内の一部にありました。しかし、2024年1月の能登半島地震をきっかけに、経営陣をはじめ「安否確認体制をきちんと整備し直さなければならない」と、重要性を強く再認識しました。
そこで、BCP対応マニュアルを整備するだけでなく、その運用が実際に機能するかを試す場として、毎年9月1日の全国一斉訓練を活用することにしました。他社の平均値と自分たちの結果を比較することで、「いざという時に本当に使えるのか」という不安を払拭したかったのです。
回答率や回答スピード向上のために、どのような取り組みをされましたか?
管理職(部長層)を巻き込み報告ルールを徹底しました。
具体的には、訓練メールが発報されてから「30分以内」に、各部署の部長が部下の回答状況を取りまとめ、執行役員、人事総務部、経営企画部が参加するグループチャットへ報告するというルールを設けました。
以前までは、集計結果が出るまで待っているだけの状態でしたが、現在は部長自身が管理画面にログインし、リアルタイムで集計機能を確認しています。未回答の部下がいれば、部長自らが個別のチャットや電話で「すぐに回答して!」と直接フォローを入れます。自動再送信機能も活用していますが、やはり「上長からの直接の連絡」ほど効果的なものはありません。
事務局への報告チャットでは、「〇〇部、全員回答済みです」「〇〇部、未回答1名、理由は〇〇です」といった報告が次々と上がってきます。これにより、「自分の部署だけ遅れるわけにはいかない」という良い意味での緊張感と責任感が管理職の間に生まれました。結果、全社的な回答スピードの向上に直結したのだと実感しています。

回答時間が6分の1に短縮。「使えるシステム」という確信が組織の自信に
訓練参加によって、どのような気づきや効果が得られましたか?
訓練の結果、安否確認連絡への回答完了までの所要時間は、2023年の14分から今年は2.7分へと大幅に短縮されました。回答率も99.5%に達しています。社内全体で「いざという時に、自分たちはちゃんと連携が取れる組織なんだ」という自信に繋がりました。
また、毎年参加し回答状況を確認することで、安否確認への意識が高まっていることを実感できました。訓練のたびに、システムへの登録方法や緊急連絡先などを再確認できることも大きなメリットです。メールアドレスなど最新情報を維持できるため、いざという時に確実に連絡が取れる体制が整っています。
高い意識を一過性のもので終わらせず、文化として定着させていくためにも、今後も訓練への参加と日々の活用を続けていきたいと思います。
素敵なお話をありがとうございました。今後の防災・BCP対策においても引き続き安否確認サービス2をお役立てください!
※掲載内容は取材当時のものです。

