事例一覧広島医療生活協同組合広島共立病院
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災害時の安否状況把握を完全自動化
憶測だった初動対応を確実なネクストアクションの判断へ

課 題

  • 緊急時の安否確認は職責者の連絡網や職場内独自の連絡手段に頼っていた

  • 職員の被災状況、地域の被災状況把握など情報収集に時間がかかっていた

  • 一斉送信メールシステムを導入したが実用レベルには達しなかった

  • 「◯人程度は集まるだろう」と憶測で初動対応を決めていた

対 策

  • 安否確認サービス2を導入し職員の安否確認から集計作業まで完全自動化

効 果

  • 短時間で安否確認と参集が可能になった

  • 参集できる人数を把握した上で初動対応ができるようになった

  • 職員の安否確認だけでなく地域の被災状況も把握できるようになった

広島医療生活協同組合 広島共立病院は、広島市最大の人口を擁する安佐南区において、唯一の総合的機能を持った二次救急病院です。広島インターから500m、ちょうど南北をつなぐポイントに位置し、急性期、地域包括ケア、回復期、緩和ケアと幅広い病棟に計186床を有することから2019年には災害拠点病院に指定されました。約40年前に地域住民たちの声により設立されて以来、従業員が400名を超えるほど規模が大きくなった現在も、常に地域住民の声を聴き、共同のいとなみで歩んでいます。

そんな広島共立病院だからこそ、災害時には復興の拠点となり、地域住民の支えとならなければなりません。そこで今回は、安否確認サービス2を導入し、被災下での迅速で確実な安否確認を実現させた事務長室 皆川さんにお話を伺いました。

確実に人員を確保するために安否確認サービス2を導入

貴院について教えてください。

皆川さん: 病院があるエリアは人口24万人ほどと広島市内でも大きなベッドタウンなのですが、近隣で総合診療のできる中小規模病院は当院のみとなっています。南海トラフ地震が起きた場合を想定した時に水没エリアにないこと、立地的に南北のハブポイントとなっていることなどから災害時の拠点病院にも指定されています。元々住民の要求により出資金を募って建てられた病院なので、新病院を設立した際も増資をいただき、地域の声に耳を傾けながら一体となって運営しているのが強みです。

どのような立場で災害対策に関わっておられますか。

皆川さん: 私は事務長室に所属し、BCP事務局として災害対策業務を担っています。一方でDMATの業務調整員として広島県の災害対策にも取り組んでおり、院内のマニュアル整備や設備の調整、防災備蓄の見直し、研修の采配など幅広く担当しています。近年DMATもBCPを重視し、初動対応から病院の立て直しを優先的に支援していく方向になりつつありますので、当院のチームメンバーにそういった話をする機会も多いですね。

病院ならではのBCPの考え方というのはあるのでしょうか。

皆川さん: 病院としてはやはりマンパワーが何より重要なんですよね、いくら設備が整っていてもスタッフが揃わないと十分な医療が提供できません。災害時は患者さんが増えますが、指示する医師、動ける看護師がいて初めて成立します。さらに動けない患者さんを搬送するとなると一度に3~4人の人員が必要になるので、いかにマンパワーが集まるかというのが1番重要な要素だと考えています。在庫のように、いざという時のためにストックしておくということができないので、この辺りが一般企業と大きく異なる点だと思います。

いざ災害が発生した際はどのように参集されているのですか。

皆川さん: 院内で参集基準が決まっています。大雨特別警報で病院があるエリアに避難指示が出た場合、外来患者さんを安全に帰すために人員が必要となります。また、震度5弱以上の地震が発生した際も、災害拠点病院として患者さんが運ばれてくるため、集まることになっています。その際は、安否確認サービス2の自動発動機能を使って安否確認を行い、その結果により招集をかける仕組みを構築しています。

個人情報が完全に守られていること、普及のしやすさが魅力

マンパワーが最重要とお伺いしましたが、そこからどういった経緯で安否確認システムを導入するに至ったのでしょうか。

皆川さん: 学会で東日本大震災の教訓などを聞いていると、人が集まらなかったという意見が非常に多かったので、当院でも参集に力を入れようということになりました。当時、災害時の連絡ツールは職責者の連絡網以外に決まったものがなく、各職員は部署ごとに異なる方法で連絡を取り合っていたんです。そのため、2014年に豪雨被害を受けた際も電話が繋がらなかったり、かかってきても出られなかったりと非常に混乱した状況に陥りました。

新病院へ移転後は、当時電話よりも確実とされた一斉送信メールシステムを導入しました。しかし、返信機能がなく一方通行になるため実際にメールが届いているのか確認ができず、部署単位での把握も難しかったため結局一度も実用されませんでした。そんな中、2019年に災害拠点病院になることが決定し、より確実な安否確認の方法を確立する必要があるとの判断からシステム導入を検討するに至りました。

複数のシステムの中からトヨクモの『安否確認サービス2』を選んでいただいた理由について教えてください。

皆川さん: 1番の決め手となったのは、個人情報が完全に守られているという点です。当時メールシステムが一般的でしたが、個人情報を知られたくないという職員が多く、なかなか普及させることができませんでした。LINEという手段もありましたが、退職した際は確実に消去されるのかという問い合わせがあり実用には至っていません。そんな中、安否確認サービス2は管理者でさえ個人のメールアドレスが一切閲覧できない仕組みとなっており、これなら不安のあった職員も登録してくれるだろうと判断したのがきっかけです。また、スマホ用のアプリが提供されており、有事の際はプッシュ通知が届くというのも非常に大きなポイントとなりました。

ありがとうございます。安否確認システムの選定では比較されましたか。

皆川さん: 2~3社比較する予定で資料請求しましたが、最初にトライアルをしたのがトヨクモの安否確認サービス2で、使いやすかったのでそのまま導入に至ったという形です。毎年更新していくことを前提としていたのでコスト面も重要視しましたが、何よりアプリの存在が非常に大きかったですね。とにかく使い勝手がよく、職員に普及させるのにも手間がかかりませんでした。いただいた資料を院内用に手直しして提示するだけで、簡単に登録が完了したという感じです。他院から情報が入ってくる中で、一長一短であったり、価格が高かったりということを聞いていたので、最終的に安否確認サービス2であれば納得の上で導入できると判断しました。

有事の際、双方向での情報提供が可能に

安否確認サービス2の導入はスムーズに進められましたか。

皆川さん: 人事システムから情報を受け取り、Excel上のデータをCSVで一括登録できたので、導入準備には苦労しませんでした。社内展開に際しては、職責会議や院内のポータルシステムを活用し、各職場責任者が登録作業を推進しやすい状況を作るため、とにかく分かりやすい資料作成とレクチャーに努めましたね。それでも普及しない部署には直接出向いて集団指導を行い、現在はかなり高い普及率となっていると思います。 初期設定を行う際スタートアップガイドを利用させていただいたのですが、若干簡素化され過ぎている印象がありました。もう少し図や動画を用いて解説していただけると、さらに初期設定も楽になると思います。ただ、トヨクモさんはサポート体制が充実していて、私も電話で細かい点まで丁寧に教えていただけたので、レスポンスの速さは非常に高く評価しています。

職員の方たちも、スムーズに登録できていましたか。

皆川さん: 管理側としては最初のログイン名とパスワードを決める際に少し悩みましたが、シンプルにIDを各職員の氏名とし、共通の初期パスワードでログイン後に各自変更してもらうという形で配布しました。院内のポータルシステムと紙媒体で周知すると同時に、職責者会議で各職員の登録を促すよう指示を出し、最終的に2~3週間で全体の登録が完了したという印象ですね。

安否確認サービス2を導入後、効果は感じられていますか。

皆川さん: 導入後に大きな災害が起きていないので実用はできていませんが、コロナワクチン接種に関してのアンケート調査を行ったり、事務部門においては制服コンペを行ったりとさまざまなシーンで活用させていただいています。システム自体が『安否確認サービス』という名称なので、活用方法に疑問を抱くような意見が出たこともありますが、アンケートシステムが非常に有用なので、今後も幅広く活用していきたいと考えています。

ありがとうございます。その他、活用されているシーンはありますか。

皆川さん: すでに雪や雨などで交通の乱れが発生している際は、職員に情報周知するツールとして安否確認サービス2を活用し、事前に判断ができる台風や大雪に関しては、送信予約機能を使って翌朝6時半に通知が届くよう設定しています。当日は職責者がそれぞれの返信を確認して判断するという流れを構築することで担当者の負担が減るだけでなく、出勤トラブルが大幅に軽減され、スムーズに対応できるようになりました。医療機関にとっては、日常的な気象トラブルであっても人員が集まらなければ十分に災害となり得るので、安否確認サービス2を導入し参集に注力して本当によかったと感じています。

安否確認サービス2があれば、職員の安否状況を把握できるのはもちろんなのですが、病院側が地域の状況を把握するという面でも非常に役立ちます。2014年の豪雨被害を受けた際、生死はどうにか把握できても、例えば避難所にいるという状況を向こうから発信してもらうという術がなかったので、あの時に安否確認サービス2があれば双方向で情報提供ができたなと思っています。

憶測行動から確実な情報収集へ 大幅な仕組み改革に成功

安否確認サービス2を導入し、職員の防災意識も変わってきたと感じておられますか。

皆川さん: 少しずつですが、変わってきていると思います。当院では月に一度、月初めに安否確認サービス2を使った独自の定期訓練を行っています。未だに返答率は全体の80%程度ですが、1時間以内に返信する職員が増えてきましたし、有事の際はアプリを通じて病院へ連絡するという意識付けができてきていると感じています。また未回答者に対しては、自動再通知機能を活用して3時間ごとに通知が行くように設定しています。

担当者として災害時の負担は軽減されそうですか。

皆川さん: 職責者は有事の際アプリを確認するという流れを徹底しているので、従来のように個別にメールをしたり、電話をかけたりする手間が一切なくなり、私だけでなく各部署の職責者の負担は大幅に軽減されると思います。以前は、災害などが起きた際も「職員が来る」という前提で話が進められていたので、実際に人が集まらなかった時の采配がうまくできませんでした。しかし、今では安否確認サービス2で動ける人数を瞬時に把握できるため、その結果からネクストアクションを考えることができています。憶測で動いていたものが、その時の状況に合わせて参集できる人員や人数を算出してから的確な対応ができる仕組みに大きく変わりました。

やっぱり災害時、一般企業と違い医療機関の需要は非常に高くなりますよね。

皆川さん: 災害が起きた際、例えば一般企業であれば最悪の場合、販売を止めてしまっても問題ないという部分があると思いますが、医療機関は災害時こそ最もニーズが高まります。被災下でもどんどん患者さんは来院するので、需要と供給のバランスが完全に逆転してしまうんですね。そこを24時間体制でどうカバーするのか、というのが医療機関のBCPとして最も重要な部分になります。集まれる人数により初動対応を決めなければなりませんが、安否確認サービス2のおかげで憶測ではなく確実な情報を基に判断できるようになりました。

有事の際のヒューマンリソースを確保するために安否確認サービス2が有効

最後に安否確認サービス2に期待することを教えてください。

皆川さん: 繰り返しになりますが、医療機関にとって最も重要となるのはヒューマンリソースです。災害の大小にかかわらず被害を受けた際、どれだけの職員が出勤できるのか、それによって初動対応が変わってきます。安否確認システムがあれば、いざという時にも確実に、かつ迅速に安否確認ができ、連絡や情報周知ツールとしても幅広く活用できます。医療機関のBCPは最初の1時間が勝負と言っても過言ではないので、そこに対しての最も有効な手段が安否確認サービス2だと思っています。

また、機能の要望になりますが、局地的な災害に対する自動一斉送信の機能があると非常に助かります。安否確認サービス2は地震など広範囲の被害が見込まれる際に効力を発揮しますが、局所的大雨など状況判断が難しい災害においては自動一斉送信されない仕様となっています。当院は2つの川に挟まれ、浸水リスクの高いエリアに位置しているため、こういった災害でも気象庁の発表に連動して対応できるような仕組みを作っていただきたいです。

それからスマホアプリはシンプルで使いやすいのですが、設定を変更したり集計結果を確認したりする際、ブラウザで操作しなければならない点が手間に感じます。ブラウザに接続せずアプリ内で完結できる機能が増えると、さらに使い勝手がよくなると思います。併せて、アプリから直接LINEのように手軽にメッセージのやり取りや、部署ごとの一斉送信できると助かります。

貴院のみなさまの利便性を高められるよう、トヨクモも改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!

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